アーカイブ

映画は最高のリスニング教材

私より英語が流暢な精神科医はいますし、また、私よりも映画をたくさん観ている精神科医も日本の中にはたくさんいます。ただし、この2つの条件を同時に満たす精神科医は、日本では私のほかにはいないと思っています。学生のころからたくさん映画を観てきました。最近では主にアメリカ映画ですが、これまでに3000本は観ています。私の書いた映画評が雑誌に載ったときは大変誇らしい思いでした。今でも年間最低100本は観ています。そうはいっても実際に映画館に行く時間があまりないので、映画館で観るのはせいぜい30本くらいで、残りはビデオです。さらに最近ではテレビで二ヵ国語放送で映画が放映されていることが多いので、それを録画しておいて、副音声だけで映画を観ることもよくあります。またインターネットで直接アメリカにビデオを注文できるので、昔観た映画でぜひもう一度観たいものを手に入れています。安いものは10ドル足らずからあります。さて、私は映画が根っから好きなので、英語を勉強しようと思って映画を観たことは今まで一度もありません。まず映画を楽しむということです。字幕つきの映画をテレビで観るときは、私はその部分に紙を貼ってしまい、字幕が見えないようにします。その理由は、私たちにはすでに日本語の知識が非常にたくさんあって、それが英語のリスニングの妨げになるからです。たとえ視界の一部にでも日本語が入ってしまうと、一瞬にして理解できてしまいます。一生懸命英語に集中しようと思っても、日本語の知識が邪魔をするのです。ですから、むしろ字幕の部分に紙を貼ってしまうほうが英語の音に集中できて、理解を助けることになります。字幕が目に入るのに、それを見ないようにして英語を聞くのは、かなり苦痛を伴います。では、映画館ではどうでしょうか。字幕に紙を貼るわけにはいかないので、そういうときは英語に耳を集中しようとしないで、日本語が目に入ったら目に入ったで仕方ないと思っています。とくに漢字は表意文字で、一文字一文字に意味が含まれていますから、たとえ視野の片隅に入っても、それで私たちは内容のかなりの部分を理解してしまうのです。英語をマスターするために同じ映画を3回観るなどという人がいますが、その努力には脱帽するものの、私にはとてもできません。本当に気に入った映画ならば何度でも観たくなりますが、つまらない映画まで、英語の勉強のために3回も観るくらいなら、私は別の映画を観に行くでしょう。